新型コロナ感染症の拡大は収まる様子もなく、全国的な感染爆発の様相を呈し、各地において医療現場の崩壊が強く懸念されます。
秋田においても、秋田大学附属病院に続き、秋田厚生医療センターで感染者が出たことで外来診療が一時停止されました。
この医療の逼迫、機能停止は、新型コロナウイルスへの感染の有無に関わらず、生活一般のセーフティネットを失う大きな危機で、他の疾病や怪我において、従来であれば助かるはずだった命が、助からなくなる状況です。
いま、感染拡大地域で実際に起きていることが、救急搬送されても病院の受け入れが叶わないケースです。
これは、コロナ患者に限らないものです。
受け入れてくれる病院が見つからない。
その恐怖感と焦りは、相当のものです。
実は、半年近く前、我が家も救急車のお世話になる事態がありました。
東京において、コロナ感染は今よりはだいぶ落ち着いていた頃のことです。
息子がスポーツ関係の習い事で頭を打ち、痛みを訴えながら帰宅。少し様子を見たものの、帰宅後も引き続き頭を痛がり、ご飯を食べずに就寝、まもなくして2度嘔吐するということがありました。
1度目の嘔吐があった夜の7時半ごろ、念のためにと救急外来を探し始めました。ですが、コロナ禍ということもあり、妻と手分けをして夜間救急を受け付けている近隣の病院にかけるものの、なかなか受け入れてもらえるところが見つかりません。
「夜間は小児科医がいないので無理です」
「子どもの頭部の外傷等は診ることができません」
「お子さんは診察券を持っている方だけにさせてもらっています」
「コロナ指定病院になっているので・・・」
様々な理由でお断りを受け、♯8000(小児救急電話相談)にも相談しましたが、そこから紹介された先でもお断りを受ける状態。
そのうちに2度目の嘔吐。
さすがに焦りました。
♯8000の担当の方からも、「もう救急車を呼ぶことをお勧めします」との言葉。
こちらは車もあり、自ら運転していくこともできるし、このご時世で多忙であろう救急隊のみなさんにお世話になることは控えたいとの思いで病院を探していたのですが・・・担当者の方からのその言葉で、119番することを決めました。
そして、救急隊が到着。その時の第一声は、「病院、決まってますか?」
救急車を呼ぶのと並行で、引き続き病院に電話をかけ続け、救急隊が到着するのとほぼ同時に、ある病院が受け入れをなんとか承諾してくれていたので助かりましたが、救急車が来れば病院はなんとか見つかるものだ、と漠然とした思い込みを打ち砕く現実でした。
幸い、コロナ指定病院になっていると言っていた病院にかろうじて受け入れてもらうことができ、頭部CTを撮り、幸い何事もなさそうであることがわかり、家族で胸を撫で下ろしました。
いま、このような経験をしている人が溢れていると思います。
受け入れ病院が見つからない。
時には、救急車が全て出払っていて駆けつけることができないことも。
子供の怪我は突然やってきます。
また、高齢者においても、脳卒中など予期できない病が突然起こることがあります。
いつもある。
何かあったら助けてくれる。
そう内心で信じているものが、コロナ禍によって失われていることを再認識しなければなりません。
政府のコロナ対応の不十分さには絶えず是正を呼びかけながらも、一県民としての心掛けもおろそかにせずに参りたいと思います。