201412月13日

妻より

【妻より】

寺田の妻です。
最近、夫が変わったねと言われることが増えました。二年前の衆院選に落選したのち、ほぼ毎日一緒に多くの時間を過ごしてきたこともあってか、私にはことさらに変わったようには感じられません。ただ、その前の約10年間、平日は国会、週末は地元、官邸に入ってからは土日も昼夜問わず東京で拘束される激務から解放され、それまではあまり表に出てこなかった一面が現れてきたというのはあるように思います。
昨年1月末に私の妊娠がわかってから、つわりと貧血など体調の激変に苦しむ私の代わりに、夫はほぼ全ての家事を引き受けてくれました。私があらゆる匂いがダメになったので、洗濯、食事の片付け、皿洗い、ゴミを集めゴミ出し、灯油の補充、食品や日用品の買い物、冷蔵庫の整理、お風呂や部屋の掃除に排水口の掃除まで全て夫に任せきりになりました。出産後、体調が戻って買い物に一緒に行くようになったこと以外は、そして授乳という物理的に私しかできないこと以外、おむつ交換はもちろん、お風呂、着替え、夜泣きのあやしに寝かしつけ、便秘のときのマッサージといった育児も含め、今も引き受けてくれ、今までおむつを替えた回数は私より夫が恐らく多く、お腹のマッサージは未だに私の方が下手なのです。
これは、主人の外での姿しか知らない方々からすると意外に思われるかもしれませんが、元々夫は掃除洗濯などは自立してやる性格。震災後、物理的に家での滞在時間がほとんどないときを除けば、私より得意な片付けや掃除などは特に夫の仕事でした。
確かに夫は、こうした生活をするまでは、ラーメン屋さんのラーメンの値段は知っていても、スーパーで売っている袋入りのラーメンがいくらかは知らなかったと思います。主夫の生活を経て、食料の買い出しを予算内に収めることの意外な難しさを知り、洗濯物を干しながら「家事は終わりがないね」とつぶやき、育児の大変さに、実家がそばにあることの有り難みと育児支援の重要さを痛感する日々。
秋田のみならず、日本で、仕事をすることなく何ものにも所属せず、数年無職でいることは、なんとなく心もとない気持ちにさせられるものです。それでも、夫は卑屈になることもなく、折角政治から離れる機会をもらったのだからと、育児に専念することを決め、文字通り育児と家事にほとんどの時間を使い、それを楽しんできました。そこから見えてくる新たな気づきを大切にしたいとの思いはもちろん、純粋に子供が可愛く、少しでも多くの時間を子供と過ごしたいとの気持ちがあったからです。女性は子育てをしていると言えばああそうかと言われるのに、男性が育児をしているというと、それはそうだろうけど仕事は何をしているのと聞かれる、そんな辛さも経験しました。
もともと夫は友達や家族が困った時にはなんとしても放ってはおけない性格です。が、そうしたところを表で見せることを嫌うシャイな一面もあります。
妊娠初期にこんなことがありました。結婚四年目にしてようやく子供を授かった嬉しさとは裏腹に、つわりと貧血であまりの体調のままならなさに夫の前で泣いたことがありました。その時、夫は私のところに寄ってきて背中に手を置き「今、静のお腹の中で、赤ちゃんがチューっと血を吸って頑張って育ってるんだよ!赤ちゃんが元気な証拠。辛いけど、嬉しいね!」と。なんだかその表現がおかしくて、不器用に一生懸命励ましてくれる夫の気持ちが嬉しく、ますます泣けてきたのでした。また、妊娠も中期の終わり、体調が落ち着いてきて、二人だけの最後の旅行をしようと出かけたある日、夫の両手にはたくさんの荷物が。自分の荷物もなんにも持てもしないのにあちこち行きたいと言ってごめんなさいと謝ると、「なにいってんの!静はもう赤ちゃん持ってるじゃん!それだけはどうしても代わってあげられないから全然いいんだよ」とにっこり。人前にも関わらずホロホロと泣けてきました。
世話は果てしなく大変ではあるものの、かけがえのない幸せを与えてくれる子供という存在を得て、夫のこれまでの価値観は大きく揺さぶられたようです。子供がこんなにもいいものだということを、不覚にも私たちは授かるまで気づかずにいました。自分より確実に長く生き、未来を見るであろうこの子を胸に抱いて、今の安倍政権の方向性がにわかに恐ろしくなった、このままでは地方と東京の格差はますます広がるばかり、だからまた衆議院選挙に挑戦したい、そう言われたとき、私も全く異論はありませんでした。大きな会社が儲かれば地方や中小企業も総じて儲かる、という時代はとうに終わりを告げたというのに、いまだ同じ手法をとるだけの安倍政権。前政権が決めた2030年代原発ゼロは撤回され、最終処分場も決まらないのに、そしてあの事故のあとそれを決めることは極めて困難であることは誰もが知っているのに、再び原発はベースロード電源とされました。集団的自衛権も、遠からず徴兵制につながるのではと、男の子を持つ母としてとても気になります。そんなにも戦地に赴きたいのなら安倍さんが一人で行って欲しい、そう思う同年代の女性は多いのではないでしょうか。安倍政権では、日本も武器の輸出が出来るようになりました。日本の武器で他国の子供が犠牲になる。景気回復のため、経済のためという気持ちはわからなくはないですが、私はそんな国の一員であることを望みません。強いものがより強くなるのは自力でやってほしい、政治の役割はそこにあるのではなく、制度の狭間に落ちて苦しんでいる人を助けるためにあるのだ、夫がこれまで10年間言い続けていることです。安倍政権のやっていることは、まったくこの逆だと思うのです。
夫が当選を果たすならば、忙しい生活に戻るであろうことに少し不安はありますが、子供を得て、より秋田の、日本の将来への責任を強く感じるようになった夫が、また皆様のために仕事をさせていただけるならば、存外の喜びです。
長文駄文を最後までお読み頂きありがとうございました。IMG_4496

月別アーカイブ