本日の魁新聞一面。
秋田県で唯一、
若者人口が「減らない村」として大潟村が紹介されている。
減らない上に、2040年までに15%増加すると言う。
そこに少子化克服のヒントがあるのか。
(ここでいう若者とは、人口推計に大きな影響を及ぼす出産適齢期の20〜30代の女性を指します)
結論を先に述べれば、
ただ単に高齢者数が最大になるピークが他の市町村より遅く、
その分、介護医療の雇用が他に比べ減らず、若者が(その時点では)減らない。
ピークが遅いのは、
大潟村は入植地で若い方が集まった歴史があるから。
魁新聞の「減らない村」の参考先は「消滅自治体」の試算で話題の「日本創成会議」。
以前、このページでも紹介した「極点社会」も同じところ。
日本全体に人口減少問題に光を当てた功績は大きいと思うが、そのまま信じていいものかどうか。
この試算の特徴は、
国立社会保障人口問題研究所(社人研)が推定している、
産まれる死ぬの自然増減データに加えて、
転出転入の社会増減を加味したもの。
その味付けは、
高齢者が減る自治体は、介護医療分野が細り、
結果、雇用が縮減して地方の若者が都会に出て行ってしまうというシナリオ。
ここまでは私も同意見だ。
さて、大潟村。
基本となる社人研のデータを見る。
社人研のデータでは、
大潟村の今の若者(出産適齢期の女性)の数は、
2010年で265人。
それが2040年には172人になる。
やっぱり大潟村も、秋田の他の自治体同様に減少する。
(減少率は他より緩やかではあるが)
大潟村の出生率は1.43。全国平均程度。
県内でも真ん中ぐらいだ。実は出生率が全く高くない。
今までずっと出生率が2を切り続けているので、
赤ちゃんが年々減ってきたのは仕方が無い。
今後も急激な出生率の上昇が無い限り、子供の数は減る。
そこに、今後25年で若者が15%も増えるとの例の試算。
上記の通り自然に増えない以上、
あとは流入してくる社会増しか道はない。
2010年の265人の15%増は305人。
その差、約40人。
それではなぜ、50人増えるのか。
そう推計した日本創成会議の理屈に乗っ取れば、
自ずと見えてくる。
若者が減る原因が、高齢者減による雇用の喪失なので、
その逆、高齢増による、若者雇用の増加。
実際、大潟村は1084人から1100人と、
僅かであるが高齢者が増えている。
他の自治体は軒並み高齢者数が減っているにも関わらず。
何故か。
思うに、
高齢化の波が、他の市町村より遅い事で、
高齢者が最大化するピークがずれているだけなのだ。
ピークがずれている理由も大潟村特有のもの。
大潟村には八郎潟の干拓によって造られた人工の土地を求め、
多くの入植者が全国からやってきた。
当然、若い方が多かった。
その結果、人口構成が他とかなり違う。
秋田県の平均年齢が50歳だが、
大潟村はダントツ若く44歳。県内一若い。
昭和40年代に多くの若者が集って築き上げられた大潟村が、
他の自治体と高齢化のピークが違うのは当然の結果と思われる。
単純に、他の地域より危機がくるのが遅いだけであって、
このまま行けば、進む道は同じ、ということではないか。
それを魁新聞では、
所得が県内一であることを理由のように書いている。
それはミスリードではないかと私は思う。
(もちろん大潟村には多くの学ぶべきところがありますが、
こと若者が減らない理由にするのは如何なものかと)
むしろ、
完全失業率が県内で最も小さく上に、
一人当たりの所得が県内一高く、
おまけに、
子育てに有利と言われる三世代家族率が県内一にもかかわらず、
合計特殊出生率が県内で真ん中の1.43に留まっているか、
逆にそれが知りたい。
一般的に言われる出生率のマイナス要因が殆ど無い、
秋田では珍しく、最も恵まれているように思われる大潟村が、
出生率が伸びていないところに、
分析の余地とヒントがあるのではないか。
どうでしょう、魁さん。
ちゃんと、考えたいのです。
人口減少の原因と問題点と、緩和策を。
勉強会でもやろうかな。