201509月16日

【法案に必ず必要なもの】

20150528193112273
政府でも国会でも、好き勝手に法律を作ることは出来ない。
法律を作る上で必ず必要なもの、それは「立法事実」。
立法事実とは、何故その法律が必要なのか?という問いに応える事実です。
今回、政府が提出した安全保障法案の中核、集団的自衛権についての立法事実や具体例を問われると、安倍総理はこれまで「ホルムズ海峡の機雷封鎖時」と答えてきました。
日本が攻撃されていないにもかかわらず、日本の存立が脅かされる事態が起こりうる、それはホルムズ海峡が機雷封鎖された時だ、と。
その総理答弁を元に、衆議院でも参議院でも議論は積み重ねられました。もちろん、ホルムズ海峡が機雷封鎖された時と、日本が直接攻撃を受けた時を同等に評価し、自衛隊の武力行使を認めることは許されないとの意見が多数でした。
いずれにせよ、この法案によって集団的自衛権を認めることの立法事実を「ホルムズ海峡の機雷封鎖時」と、何度も総理は答弁してきました。法案の正当性を主張する為に。

しかし、その立法事実は、先日の審議であっさりと総理自らによって撤回されました。「現在想定はされない」と。

もはや、何の為の法案なのか誰も理解できなくなっています。
総理自らが法案の正当性を支える根幹を否定しました。
中国の脅威や北朝鮮のミサイルを法案の正当性にしているようですが、日本に対する直接的な軍事的脅威は、本法案にある集団的自衛権の問題ではなく、現行も認められている個別的自衛権の範疇です。
もはや、個別的自衛権に関わる事案を集団的自衛権の必要性にすり替えて正当性を主張するしかなくなったのでしょうか。

廃案にすべきです。
立法事実がなくなった法案は、廃案にすべきです。
いわんや、立法事実がなくなった法案を、今国会で何がなんでも成立させる理由なんて、どこにもありません。

月別アーカイブ