事務所スタッフから、いま議論されている「安全保障法制」の内容が難しいから、ドラえもんとかで例えて欲しい!と無茶な依頼を受ける。確かに今回の法改正を理解するのは難しい。でも戦後最大の方針転換なので、是非とも国民総出の議論を巻き起こしたい。
ということで、法律改正の主要部である集団的自衛権の容認を以下の通りドラえもんで例えてみる。
日本はスネ夫。日本をスネ夫とすることは大変不本意ではあるが、止む無し。でも、のび太でも出来過ぎ君でもない気がする。
アメリカはジャイアン。アメリカをジャイアンとする事も不本意であるが、これまた止む無し。ジャイアンは勇敢で時に優しい男です。
スネ夫(日本)は、平穏な生活を維持する為に二つの決めごとをしていた。
一つは「自分が誰かに暴力を振るわれない限り、決して人を叩かない」。
もう一つが「誰かが自分を襲ってきた時は、自分の身を守る為にジャイアン(アメリカ)と共に戦う、その代わり、ジャイアンにお金と敷地を提供する」。
その二つの決めごとは、結果的にスネ夫に長いあいだ平和をもたらしてきた。
だが、最近ちょっと町内の雰囲気が悪くなってきた。
そこでスネ夫は一大決心し、次のことを決めた。
①「これからは自分が襲われてなくても、ジャイアンが他人と喧嘩したら手伝おう!」
②「でも、何でも手伝うわけにはいかないから、あくまでも、このままじゃ自分の身が危ない!って思った時だけにしよう」
③「自分の身を守る為なら、ジャイアン以外の喧嘩も手伝うことにしよう。誰を手伝うかは、喧嘩が起きてから決めよう」
④「でも、一番大事なのはジャイアン。ジャイアンとの信頼関係が傷ついてきたら僕の身が危ないから、信頼関係が傷つかないようにしないと」
スネ夫には色々心配の声が寄せられる。「今までのルールを変えちゃったら、ジャイアンに手伝えと言われたら今度は断れるの?昔も遠くの喧嘩に誘われて特別のルールを作ってたじゃない」。
スネ夫は「何でも手伝う訳じゃないよ。自分に本当に危険が迫ると考えたときだけだよ。それと、今までは守ってもらってばかりだったけど、これからはジャイアンの喧嘩を僕が手伝うと町中に宣言したら、僕に喧嘩を売ってくる人は減るはずだから、もっと安全になるんだよ」。
こんなところでしょうか。
つまり、今回の改正で、自衛隊は日本を守る必要性と目的をもてば、日本が攻められていないのに、外国に武力行使をすることができるようになります。
その是非を国会では議論します(そもそも現行憲法で許容される行為かも当然議論されます)。
その他、改正点は多岐に渡りますが今日はこの限りで。
注釈。
①は集団的自衛権の行使(自国を守るための集団的自衛権という、国際法上特異な類型)
②はその集団的自衛権を行使する上での最大の要件「存立危機事態」。「我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること」それ以外の要件に「他に手段が無い」「必要最小限の武力行使に止める」がある。
③は「密接な関係にある他国」。これはアメリカに限定していない。国会の答弁では、ケースバイケースで判断する、安保条約を結んでいる必要は必ずしも無いとしている。
④国会答弁で「日米関係は死活的に重要」とし、日米関係が揺らぐことは、②の「存立危機事態」になりうることを現時点で否定していない。