202304月25日

【仮放免中の子どもたち】

私が筆頭を務める法務委員会で審議中の入管法が審議されています。今日は、様々な報道がなされている、日本の正規の在留資格をもたない仮放免中の子どもたちのことについてお話したいと思います。

今、この日本には、日本で生まれ、日本に連れてこられ、日本しか知らない、
仮放免中の子どもが、統計上少なくとも200名以上います。
アメリカには不法移民の子どもたちの立場を一時的に安定させるDACAという制度があります。
オバマ政権の時に大統領令として出来上がり、トランプ政権で危うく制度が撤回寸前までいったものの、最後は最高裁の判断により維持をされています。各国が、在留資格の付与のあり方については、本当に悩みながら、そして揺れながらも、子どもだけは守ることはできないか試行錯誤を続けています。
私は、このDACAとは違うけれども、日本も何かしらの子どもたちを守る支援の制度を作るべきではないかと考えています。

仮放免中の子ども、200名余のうち、
小学校に通う子どもは123人、中学校に通う子どもは64人、
そしてそれ以外にも高校に通う子たちもいるでしょう。
その子ども達が、周りにいる同級生と同じ扱いがされず、そして病にかかれば保険がなく、満足いく治療も受けられません。本当に不憫でなりません。

先日の新聞報道で、埼玉県川口市のクルド人の男子高校生のことが語られていました。
家族5人、みな在留資格はなく、仮放免中。両親と兄はトルコ国籍があるものの、日本で生まれた彼と弟には国籍がありません。
ある日、友人から東京の上野動物園に行こうと誘われたましたが、仮放免中の彼が県外に行くには入管の許可が必要で、「ごめん、無理」と断ったそうです。
その彼が発した言葉は、「普通の人生を歩みたい」というもの。

ここから見えてくるのは、何も彼らは贅沢な望みを持っているわけではないという現実です。
ただただ、「普通の人生を送りたい」というささやかな当たり前の望みです。

この子のような、日本にいる200名を超える苦しい立場に苦しむ子どもたちを救いたい。
彼らには、帰る国も、ふるさともありません。
私にも9歳の息子がおりますが、息子と何ら変わらぬ子どもが、
自ら選択したわけでもなく、ただそのような環境に生まれたというだけで、
苦しい環境にあえぎ、将来を悲観しています。

確かに大人の中には、在留資格を与えるにはためらわれる方もあります。
自己責任で厳しい環境を招いた方もいるでしょう。
でも、この200人を超える子どもたちには、何ら一切の責任はありません。
ただ突如として、与えられた運命の中で苦しくもがいているだけです。

法務大臣には、その子らを助けることができる権限があります。
法律改正も、国会の承認も必要ありません。法務大臣の判断さえあれば、その子らを助けることができます。

希望する子どもに、その200名を超える子どもたちに、日本で生きていくための安定的な在留資格を与えたい。

そのことを、私を含め他の委員が強く大臣に質疑で求めてきました。
合わせて、与党に対し、我が党の対案と、質疑の中で訴えたこれらの要望を伝えました。
その結果、大きな判断が検討されているようです。
修正合意に賛同すれば、子供達と、その親に在留資格を与えることができる。
そう確信するお話を与党側から伝えられました。
今まで「子どもは親と一緒に国に帰るのが原則」としていた政府与党としては、大きな譲歩と思います。

いま、我が党の方針が問われています。

今日の党の会議では、長年かけて作り上げた我が党の対案に対し、とても強い想いを多くの方が述べられました。
そして、今回修正合意に応じることは、それらを共に作り上げた多くの支援者や団体を裏切ることになる、と。
その想いはよく理解できました。

それでも、私は子どもたちを救うことを選びたい。
長年かけて作り上げた対案であることは事実で、その苦労はよくよく理解しています。それでも、目の前の子供達を助けてあげられる党であって欲しい。

目の前に助けを求めている子どもたちの姿があって、せっかく繋ぎかけた子どもの手を、手放すことがあっていいのか。自分たちの選択一つで目の前の子どもたちを救うことが叶うのであれば、私は、喜んでその手を繋ぎ続けたい。
そう願って明日再度、党の会議に臨みます。

 

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