202301月30日

【育休の実態を私なりに】

10年前、待望の我が子を授かった時のことをお話ししたいと思います。
正確には、私の場合は「育休」ではなく、落選して無職となっている間に子を授かった為に、育児そのもの?でした(1年間)。
それでも、いま一部で話題となっている自民党提案の「育休中にスキルや学位を取るサポートを」という政策の方向性には、強い違和感を感じているところです。

その違和感を一言でいえば、
「育児中にそんな余裕なんてあるか!」というもの。

まぁまぁそんなに目くじらを立てずに、となだめる向きもありますが、異次元の少子化対策と力を入れている政府与党の発想がここまでずれているとすれば、しっかりとその違和感を表明することが必要でしょう。

おそらく、働きながら資格を取る人もいるんだから、育休中に勉強も可能ぐらいに(提案した)自民議員も総理も考えてるのだと思います。
でも、一度でもしっかりと育児に携わったことがあれば、そのような余裕が生まれるとの発想は出てこなかったでしょう。

働きながら資格を取ることと、育児(多くの人が育休を取る生まれてすぐの時期)をしながら資格を取ることは似て非なるもの。その決定的な違いは、育児は時間のマネージメントが思うようにできないことです。
生まれてすぐの頃、まずはひと段落目となる昼夜の感覚が少しずつ赤ちゃんにできる頃までは、すきま時間を作って、、なんてほぼ無理で、泣く、オムツを変える、ミルクを作る、飲ませる、ゲップをさせる、抱っこで寝かしつける、ベッドへの着地に失敗する、なんとか寝かしつける、寝たと思って安心して自身も眠りについたらまた泣き声が・・・という無限ループ。これを夫婦二人でカバーしましたが、そもそも妻は出産直後で「体がバラバラになったよう」と本当に辛そうで、二人とはいえ余裕がある状態ではありません。
ただただ振り回される日々。7ヶ月目の夜、初めて通しで朝まで寝てくれたことをバンザイしながら喜んだほど、最初の半年ほどは相当しんどい時期でもありました。
その他にも、ミルクを吐き戻してしまって1日3度着替えたり、オムツかぶれになりがちだったので、うんちの度にお湯でお尻を洗い流したり、お風呂上がりの保湿に、(腰が座るまで)基本は抱っこ、ズリはい、はいはいで動けるようになれば口にいれて窒息しそうなあらゆる細かいものを部屋中からくまなく撤去し、掴まり立ちが始まれば、倒れてもいいように床中にふかふかのマットを敷き詰めて動くたびに見守るなど、、
子の成長を喜びながらも、そのステージ毎に心配と苦労は絶えません。

繰り返しますが、およそ育休中に資格を取るような余裕はありません。

もちろん、中には、その過酷な育児の中でも資格を取ったり、スキルを身につけた人はいるでしょう。
ただ、そのような超絶的な体力気力の方を前提に制度設計を組み立てることは、その他ほとんどの方々を一層肩身の狭いものにしてしまいます。

これらの批判が起きたことについて、今度は自民党幹事長が「子育てがキャリアにマイナスにならない制度を作ることが重要だ」と発信しました。その制度こそが先述の「育休中にスキルや学位を取るサポートを」することなのだと。

弁解のつもりだったと思いますが、その二つを繋げてしまうと、むしろ「育休を取ったら資格やスキル身につけないとマイナスになりうる」ことが前提になってしまいます。育休を取ることそのものがキャリアへのマイナスになるような今の会社のあり方、労働のあり方を見直さなければならない、という国際社会の潮流から大きく外れているのです。

いずれ、政府与党が本気で異次元の少子化対策、子育て対策をするのであれば、子育ての実態をもう一度冷静に見つめて整理し直す必要があると思います。

このままだと、従来通り、家事も育児も介護も全部誰かにやってもらって、仕事だけに専念してきた人達で作り上げた「子育て政策」になってしまいます。

少しでも子育て世代にとって、これからの世代にとって助けになる、安心できる政策に導けるよう、私自身も努力していきたいと思います。

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