その発言を報道で知り、妻は怒ることもなく押し黙っていた。
数日経って、想いを絞り出すように話してくれた。
その内容は、妻自身のTwitterにもこのように書かれている。
「森氏の発言のようなものはこれまでにも沢山あって、まともに受けたら胸焼けがするから努めて自分の中に取り込まない様に気をつけて生きてきた。でも、45歳になって、まして議員という立場になってみれば、私たちがやり過ごしてきたことで、これらの差別を野放しにしてきたのだと自責の念に駆られ苦しい」と。
今回の森氏の発言を受けて、若者が怒り、そして、今まで何とかやり過ごしてきた世代が自責の念にかられている。
テレビを見ていると、女性キャスターが、タレントが、「このような時代を残してしまったことに申し訳なさを感じる」と、声をあげた。
でも、これは女性だけの問題なのだろうか。社会で声をあげているのは女性がほとんどだ。
森氏の処遇の検討を求める署名活動や、テレビの前で自責の念を吐露するのも、全て女性だ。
男性は何をしているのか。
昨晩、国際的に活躍をされる方から発せられた言葉は耳が痛かった。
「沈黙していることで、国際社会は日本人男性は皆女性差別的だと見ている」
この問題は、女性の問題ではない。日本社会全体の問題だ。女性たちに解決することを押し付けるのはおかしいのではないか。
むしろ、男性が、このような偏見を平気で述べる人を、よりにもよって最も国際的なポジションに送り込んだことへの落とし前を自らつけるべきものであろう。
沈黙すれば、日本社会の女性差別に加担することになる。
そして森氏が会長に留まることは、このままオリンピックの顔として世界の方々をお迎えすることを許容することになる。
「男の後始末をどうして女がしなきゃいけないのか。男の後始末は男がやってほしい」。
友人から、そう言われたことの責任を強く感じます。
私はいかなる性差別にも反対します。そして、理事会での森会長の処遇の検討を求めます。
寺田学